2023年 道の駅が課題解決へと進むために持つべき視点とは

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2023年 道の駅経営 時流予測レポート ~今後の業界動向・トレンドを予測~

1.道の駅とは?

高速道路のSA/PAのように一般道路の中でも休憩&情報獲得できる場所があれば良いのではないか、という気持ちから様々な地方で生まれたのが「道の駅」である。
「道の駅」の制度は平成5年に始まり、道の駅の目的は国土交通省による施策の一環として安全な交通道路環境の提供や地域振興に寄与することだ。

道の駅は、その多くが市町村や都道府県などの自治体が母体となって設置され、運営・管理は第三セクター、またはJAや民間会社などの指定管理者に委託されるケースが大半を占めている。自治体または自治体が委託した第三セクターが運営している道の駅は全体の約9割を占めている為、道の駅は公共事業や地域振興事業である側面が強い。

道の駅に備わっている機能は、
・トイレや駐車場のような「休憩機能」
・周辺の道路や地域の観光情報などを発信する「情報発信機能」
・観光や地域との交流を目的として施設を設置して地域との交流を目指す「地域連携機能」

の3つのコンセプトを基本としている。

この3つのかけ合わせから「地域の個性を活かした交流の場」を創り出す事が目指されてる。
道の駅は24時間利用できる休憩所のような場所から宿泊施設などを設置する事で地域観光の拠点のような場所へと進化しつつある。それに加えて地域の観光情報について知れる事で観光の入口のような場所から旅の最後に地域の特産品や名物を購入する事ができる事から旅行の最後に寄る土産屋のような活用ができるため、「道の駅」というものの地域創生・振興におけるポテンシャルの高さははかり知れない。

例えば、道の駅の中には地域の特色である温泉を活かして温泉施設を併設していたり体験型施設やキャンプ型施設を併設したりと特色ある個性豊かな道の駅が存在する。
例えば、昨年度 徳島県鳴門市で開駅した道の駅「道の駅 くるくるなると」では、2階から1階へ人工芝の広々としたスペースを設けて憩いの場都市、さらに屋上部分にはジップラインを設置し他にはないアクティビティを体験できるように工夫されています。

2.道の駅の現状と課題

現在、地域の拠点としての機能を期待される「道の駅」施設は 令和5年2月28日までに1,204駅を超えた。一方で巨大化する道の駅の経営側面においては、様々な課題が 指摘されている。中でも大きな課題は「売上向上」とされている。例えば少し古いデータとなるが、地域活性化センターが2014年にまとめた全国の道の駅を対象とした調査・分析レポート「全国「道の駅」のアンケート調査報告書」によれば、回答した 「道の駅」の課題の41.0% が「売上の低迷」となっている。
売上の低迷の理由として考えられるのは、近年の人口減少や高速道路の無料化の取り組みによる影響を受けた来場者数の減少や他にも道の駅で販売している地域の名産品に販売する季節の偏りがある事による販売店としての魅力の低下がある。

道の駅は地域振興の目的も強いため、来場者数の減少に伴う売上高の減少で経営が悪化するのは運営母体の地域の財政問題に直結し兼ねない。
名産品の販売季節の偏りに関しては近年問題視されている農家の方の高齢化も関係しているだろう。
多くの道の駅に設置してある農産物の直売所の大半は地域の農協や組合によって運営されており、農産物を新鮮な状態で比較的安価で購入できる点が直売所の魅力だ。
しかし、昨今の農家の方の高齢化や過疎化により販売規模が縮小しているのも事実である。

今後もこの流れは加速する事が予想され、問題に対応すべく農産物の直売所だけでない道の駅の目玉スポットや商品を考案する必要があるだろう。

近年、たしかに多くの道の駅から売上の改善、収益の見直しといったテーマで、リニューアルや施設再整備案件が増加している傾向にある。一方で、収益が向上、客数の増加、交流人口拡大が実現できている。それでは、この違いはどこにあるのか。 その多くは「3.自立経営の視点 」を持っているか否かにあると考えられる。

3.自立経営の視点

これまでの傾向では、多くの新規道の駅、既存の道の駅を含めて基本計画は策定しているものの 経営面における計画を策定しているケースは多いとは言えない。
これまで道の駅では、経営コンセプトとして国がいくつか掲げているものがあった。
第1ステージ:道路利用者のサービス提供の場を目指す(1993年~)
第2ステージ:道の駅自体を目的地や観光名所とする(2013年~)

現在2020年から2025年を目標に国が新しく掲げているのは第3ステージである。
第3ステージとは、「地域創生・観光を加速させる場かつネットワーク化で活力のある地域デザインにも貢献する場」というのがコンセプトだ。
ここに含まれているネットワーク化とは、地域の民間企業や大学、学校などから海外都市のような様々な主体機関と網のように連携をとることを指す。外部と連携をとることで道の駅としての地方創生機能の向上や地域への理解へと繋がる事が期待される。

そして今、道の駅制度が開始された当初の道の駅は次々にリニューアルの時期を迎え、「第3ステージ」を実装した道の駅が徐々に増加している。

しかし、国が掲げている目標だけでなく、自立した経営ビジョンを持つことが必要だと考えられる。
そのため、今後の道の駅経営を考える場合、施策として道の駅の立地、商圏、対面交通量等から実際にどの程度の売上が達成できるかを検証し理解する必要がある。さらに、売上規模を実現するために具体的にどのような集客コンテンツを付加すべきかについて検討して(再)整備を行う必要がある。
(再)整備を行い新たなコンテンツを付加する際、集客を目的としたコンテンツだけでなく防災設備や避難場所のような地域を守る為のコンテンツを付加する事が地域にとって公共サービスのような大きな役割を持つ事になり、地域力の向上に繋がる。
しかし、地域の高齢化や過疎化が進み道の駅周辺の地域力が落ち込んでいく中で、道の駅自身がオリジナルブランドの立ち上げや運営を進めていく事で収益率を高めながら自立した経営観を持つ事が出来るのではないだろうか。オリジナルブランドや商品の企画・販売は他の道の駅との差別化利用客の利用目的になることが出来るので、注力してみるのも一案である。
道の駅が自立した体制で経営を行い、その機能を維持するために運営の仕方が変わりつつある。機能を維持するために、採算のかたちを企業のような独立採算制で行う道の駅が増えている傾向が見られる。独立採算制で一本化する事により経費や収益が分かりやすくなり、道の駅自身の組織力の向上が狙える。

そして最後に売上規模、コンテンツに見合うゾーニングが完成してはじめて、指定管理者を交えた運営オペレーション、地域連携について考えていくことが可能になると考えられる。もちろん、道の駅の基本機能である「情報発信」「休憩」「地域連携」といったコンテンツが盛り込まれることを前提とした検討であることを忘れてはならない。

4.道の駅が経営の自立性を担保する第一歩

自立した経営力のある道の駅を目指すために考慮すべき要素はさまざまである。その中でも特に大切な要素の一つが「立地」である。好立地である条件は自家用車比率や平均車速度といった流動導線関連要素に加え、物件そのものの視認性や将来拡張性、また物件周辺イメージ等であり、それら要素を総合して数値化し評価していく必要がある。それぞれの項目についてポテンシャルを診断したうえで計画設計に踏み込むことが必要と考えられる。
もう一つの大切な要素として「情報機能の拡充」が挙げられる。道の駅の基本前提として「情報発信」が掲げられているが、道の駅の周辺の観光情報や事故、道路情報など道の駅を情報収集ベースとしての役割を強める事が大切である。通信インフラの整備は利用客の情報のインプットがスムーズに進み、情報を発信する側の道の駅も最新の情報を届ける事が出来る。
情報機能の拡充は何も利用客だけが対象の要因ではない。道の駅の運営にも欠かせないものであり、HPの作成やSNSでの情報発信などは集客のきっかけになり得る。

現在、道の駅を整備、もしくは再整備する計画があるならば、まずは今の計画において経営的側面が含まれているか、また しっかり収益を見込むことができるかについて検討することが重要となる。ぜひ一度、貴地域の計画を検証していただきたい。

いかがでしょうか。
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