第194号 内需拡大

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       事務局:TEL 03-6212-2930 小林 祐司
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        今週のコンテンツ
■ 今週のまちおこし─『 内需拡大 』
■ 地域再生行脚100 -No.44-
                  ~天竜美林~
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 ■ 内需拡大
 こんにちは、小林です。内需の拡大とは書きましたが
大げさな内容ではありません。今週はどこでも出来そう
な事例のお話です。マクロ経済を語る際に「日本はもっ
と内需拡大を目指すべく、ウンタラカンタラ…。」とあ
りますが、要はこれって国内でヒト、モノ、カネを回し
ましょうということ。これをまちおこしに例えると、企
業誘致や遊園地・博覧会で地域外からヒトやお金を呼ぶ
のではなく、地域内にあるものでやりましょう、となり
ます。
 ヒントは女性達の趣味でした。年配の方たちは子育て
期間が終わると時間に余裕が出来ます。余暇時間は趣味
や旅行に費やされ、そのうち特に女性は小さな雑貨類を
自ら作って楽しむというパターンがあるようです。ビー
ズアクセサリー、染物ハンカチ、ポスタルカードや手づ
くり携帯ストラップと種類は多様です。中にはとても素
人とは思えないほど立派なものをつくる方もいます。さ
て、趣味で作られたこれらの作品。製作後はどうなって
いるのでしょうか。
 実は結構な確率でそのまま自宅の棚にしまわれていま
す。たまに孫や知り合いが遊びにくると日の目をみます
が、多くは持ち主の移動がないままなのです。私のおば
もビーズアクセサリーを作っていましたが、やはり見せ
てもらったとき以外はタンスの中にしまってありました。
 こういったことに目をつけたある方がいました。日帰
り温泉を経営されているその社長は、地元からの集客を
伸ばす一環として、上に書いた地域の女性が作成したア
クセサリーを店内で販売することにしました。ユニーク
なのはただ売るのでなく、いくつかに区分されたショー
ケースを設置し、区分けスペースの一つ一つを賃貸で製
作者に分け与える形をとったことです。これにより製作
者は販売スペースのオーナーということにもなるため、
作成と同時に売る努力も行なうことになります。募集を
始めて2週間ぐらいでしょうか。ショーケースはあっと
いう間に予約で満杯。その後は製作者それぞれの自慢の
作品がケース内にぎっしりと埋まるようになりました。
単価の低いアイテム商品の販売ですし、一区画も小さい
(縦30cm、横35cm、奥行き3cm)のですが、
一月で5万円近く売上を上げる方も中にはいらっしゃい
ます。
一般にこれは「レンタルショーケース」といわれます。
このアイデアのすごいところは、素人の方を巻き込みな
がらこれまで何もなかったところにヒトとモノとオカネ
の流れを上手に創り上げた点。今回のケースだと年配女
性が趣味で大量に雑貨類をつくっていることをみれば、
これまでも需要は確かにあったのですが、それを具体的
なシステムに変えたことは驚くべき発想・実行力だと思
います。そのお店はアクセサリーのショーケースを設置
したことで売上が増えたことに加え、製作者が友人や家
族を連れて来館するようにもなったこと、またアクセサ
リーを趣味とする人たちが新たな顧客となったことで新
規の集客が確実に増えています。
地方にご支援にいくと、観光客の増加や宿泊客に連泊し
てもらうための施策といった話が多くなりますが、そう
いった地域にも必ず年配の女性がいて、それぞれのご趣
味で何かしらをつくっているものです。外部から呼び込
むだけでなく、足元にも目を向ければ「ヒト、モノ、カ
ネ」が回りだす新たな枠組みができるはず。これも立派
なまちおこしだと思います。(小林 祐司)
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○執筆者紹介 小林 祐司(こばやし ゆうじ)
 船井総研入社以来、地域活性化、社会貢献をキーワー
ドに業務活動を行う。自治体、民間企業を問わずにコン
サルティングを続け、寝る間も惜しんで全国を奔走して
いる。「農」を通したまちおこしの研究も進めている。
★日本列島に過去最大級の冬将軍が到来。積雪は多く
の場合、ヒト・モノ・カネの流れを止めてしまいます。
今年暖冬のはずだったのに・・・。雪に負けるな!(> <)  ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇ ■ 地域再生行脚100 -No.44-                   ~天竜美林~ 古川です。寒いですね。世間ではクリスマスモードです が、いかがお過ごしでしょうか。先日、静岡県の天竜美 林へ視察にいきました。人が植えて愛着をもって育てて きた美林。製品となるのに50年~100年とかかる世 界です。天竜は、日本の三大人工美林のうちのひとつで 歴史もある地域です。国産の美しき杉と檜を算出する地 場産業として名を馳せてきたこの天竜も、いまは浜松市 に合併され、天竜の名前が地域から消えました。このた びは、市町村合併後の動向、そして、この材木の市場規 模減少の中で元気がない地域なのか、それでも夢を持っ て歩んでいるのか現場を見にとにかく足を運んできまし た。 先月の弊社のセミナーを通して知り合った地元の製材所 さんや林業家さんに案内され、山にも登りました。山、 それは手間隙かけて育てた人工林が植わっている世界で す。いい山もわるい山もどちらも見せていただきました。 車を走らせ、林業家と製材所の二人のこんな声を聞きま した。 「おぉ、ここの山は誰のだ?」 「Mさんのです」 「いい山だなぁ、いい木になってる」 「ここは誰のボサ山(手入れの入っていない悪い山)だ?」 「Aさんかな」 「そっかぁ」 「うわ!ここもスゴイなぁ、嫉妬しちゃうな、いい山だ」 「素晴らしいですね、下草も綺麗で、スギもまっすぐだ」 「こっちは誰の山かね」 「Mさんですよ」 「うわぁ、Mさんすごいなぁ、オレの山を後で見せたら  がっかりさせちゃうな、古川さんに(笑)」 「私このボサ山買ってねぇ、間伐したんだ」 「すごいなぁ」 こんな会話で盛り上がる。林業、作業道の整備もいきわ たっていて、私設で創った道もあります。木が搬出しや すいように自らが工夫して、自らが投資して作った作業 道は、非常に手の込んだ道になっていました。日本の山 は基本的に急峻であり、風土や湿度や気候からすれば素 晴らしい杉の「財」が生まれる地域であっても搬出に手 間とオカネがかかるものです。そのためにより楽に搬出 できる工夫を、地域の方々、愛着ある「杉」や「檜」を 世に出すために、努力をしてきているのです。現場で見 れば、素人でもその苦労が伝わるものです。こういいま した。 「我々、林業家ができることは、コストを押さえ搬出す ること。そこまでなんだよ。あとは、どう料理して世の 中に出すか。それは、託したぜぃ!」 ここで製材所や大工、工務店へバトンタッチされるので ある。その林業家、製材所の方は、独自の哲学を持って いました。 「いい山ってのは、美しい山だ。  美しい山ってのは、持ち主のコンセプトがある山だ」 コンセプト。もうすぐ70になるだろうおっちゃんが、 熱く語ってくれました。道中色々話しましたが「楽しい! 楽しい!山は楽しい!面白くするだぁ」と静岡弁で話し てくれると、こちらも、この斜陽産業が楽しいものだと いう認識がさらに自信を持ってきます。国土の約6割を 森林に持つ森林国家JAPAN。地元で元気で楽しく、そして コンセプト・哲学を持ちながら仕事をしている人がいる のです。私のほうが勇気付けられました。(古川大輔) --------------------------------------------------- ○執筆者紹介 古川 大輔(ふるかわ だいすけ) 経歴は農学部卒、同大学院卒で船井総研入社。今年度か ら大学院時代の専門を活かしながら、地域創造・活性化 チームを創設。 現在「名もなき市町村のブランド化戦略」に挑戦してお り、常に「持続可能」と「利潤追求」の2つのテーマを 追求している。 特に、林業・山村の活性化と、国内の材木需要の掘り起 こしに全国を奔走している。 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

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