第096号 書を捨て、まちに出ると

■ 書を捨て、まちに出ると
 こんにちは。小林です。先般、池袋で行われた「ニッポン全国
むらおこし展」というイベントに行ってきました。毎年開催され
ているこのイベントは、全国各地の商工会の「むらおこし事業」
で生まれた特産品の多くを宣伝、販路拡大、販売を目的として全
国商工会連合会さんが実施しているものです。
会場に入るとすぐその熱気とにぎやかさに、気づきます。会場を
グルッとまわってみましたが、随所から八百屋さんや魚屋さんの
ような威勢のいい声が聞こえ、会場内はちょっとした市場のよう
な雰囲気になっていました。
 ふと、あるブースに目をやると、熱心にメモを取りながら、来
場した方と話しをしている出展者の方が目にとまりました。チョ
ッと近づいてみたら、来場者に自分たちが展示している商品につ
いて、色はどうか、形、値段はどうかなどを食い入るように質問
されているのが聞こえてきました。一通り話しが終わると奥のほ
うに入っていき、メモをパソコンに入力し、入力し終わるとまた
ブースの前に出てきて会話をするといったことを繰り返されてい
ました。
しばらくして、「さっきから色々みなさんと話されてますが、何
をされているのです?」と、その方に話しかけてみました。かえ
ってきた返事は、「来場者の方に商品についての意見を聞きたい
のですが、アンケートに色々書いてもらうのは混雑する会場内で
はむずかしい。商品を手に取り、会話の中で意見をもらう方が、
こちらの考えも伝えやすいし、相手の本音の意見も出やすい。ま
た、そこから次にやることも見えてくる。毎年開催されるむらお
こし展はそういった事にうってつけの場所ですし、とにかく来場
者と会話するようにしているのです。」とのことでした。
見ていると、ただ質問に答えてもらうだけでなく会話を通じて、
じゃあこういう形だったら欲しいと思うか?といった、より深い
話に発展させているのが分かりました。このやりとりを見て、正
直「なるほど」と感じました。
みなさんも普段生活している中に、「こういうことだったのか」、
「この人たちはこんなことを考えていたのか」といったことが、
ちょっと会話をしただけでも実感できることってたくさんあると
思います。
今回紹介した方はそうした日常で普通にやりとりしていることを、
自分たちの特産品について実践し、そこから新しいアイデアや次
にやるべきことを導こうしていたのです。
 まちおこしには、様々な進め方があると思います。たくさんあ
りすぎて何から始めてよいか決まらない、という意見も本当によ
く聞きます。そんなときは、まず全国村おこし展などのイベント
に出るなど、まず外へ出て行動することです。机の上では得られ
ない生の情報が得られ、そこから見えてくるものが必ずあるはず
です。(小林 祐司
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○今回の執筆者紹介 小林 祐司(こばやし ゆうじ)
 某建設コンサルタント会社にて地質調査を担当していたが、
調査中に環境問題意識に目覚めて退職し、インドに渡る。
 インドではNGOのボランティア活動を通じて食糧問題へ
の関心が高まり、帰国後生協に入社、地域密着の生協活動を
担当。
その後退職して船井総研入社。現在週刊まちおこし編集長。

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