第082号 観光施設を失敗させる方法

■ 観光施設を失敗させる方法
 こんにちは日江井です。いま、ある観光地の大型レジャー施
設経営再建のお手伝いをしています。
そこで、各地の観光施設のモデル事例を調査したところ、下記
のような『失敗している観光施設の共通ルール』が浮かんでき
ました。
1.投資コストに見合う売上を上げることが出来ていない
⇒投資回収期間が長い、もしくは回収できない。売上予測が甘
 すぎるか、過剰な投資に起因。
2.売上を上回るコストがかかっている
⇒利益が出ない。売れば売るほど赤字の体質。
3.地元客よりも観光客をターゲットとしている
⇒特に東京などの都会からの集客ばかりに目を向けている。地
 元人口の実数だけをみて、マーケットがないと思っている。
4.お客様は勝手に来るものと思っている
⇒オープンして2~3年間は話題性がありお客様も来るが、リ
 ピート客がつかない。その後の客数は減る一方。
5.命を賭けて儲けようと思っていない
⇒担当者がコロコロ変わり、腰を落ち着けて企画・実行ができ
 ない。もちろん実績と給料は連動していない。
『あ~、そんなの当たり前だよな』と思われているかもしれま
せんが、どうみてもこれが行政主導で開発された、日本の多く
の観光施設の現実なのです。
 地域の観光施設は、地域情報の発信や特徴づけという点以外
に、雇用吸収や地域経済的波及効果など目にみえる効果が多く
あります。多くの補助金を投入し、本来多くの利益を生み出す
ハズの観光施設が上手に活かされず、お荷物になってしまって
いるケースが数え切れないほどあるのです。
 こういった観光施設が生まれ変わるためにはどうすれば良い
のでしょうか?
それは、失敗のルールと反対のことを行えばいいのです。
例えば、こういうことです。
1.真剣に売上予測をして、売上に見合った投資をする。予算あ
 りきで投資額を決めない。
2.売上予測に見合った運営体制をつくる。せっかくの雇用促進
 も、赤字で事業が継続できなくなっては意味がない。
3.地元客が支持してくれる内容なら、きっと観光客も喜んでく
 れる。『近きもの喜び、遠きもの来たる。』
4.リピート客なくして事業の存続なし。既存客の満足を全力で
 追求する。
5.現場責任者は企業経営者と同じ覚悟を持つ。またその責任と
 権限を持たせる。
これからの社会・経済情勢は、より地域に自主性を求めるよう
になってきます。赤字垂れ流しの事業をいつまでも税金で支え
ることはできないのです。自助努力でどうにもならなければ、
最後は閉館、破綻となってしまいます。その予備軍は日本中に
数えきれないほどあるのです。
しかし、多くの企業経営者と同じように命を賭ける決意を持て
れば成功のスタートに立つことができきます。
そのスタートの1歩目として、失敗のルールと反対のことを、
ひとつひとつ、できることからやってみてはいかがでしょうか?
日本再生のためには、地域経済の再生。そのために観光施設の
再生は、極めて重要な意味を持っているのです!
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○今回の執筆者紹介 日江井 泰宏(ひえい やすひろ)
某都市計画系建設コンサルティング会社を経て、株式会社船
井総合研究所に入社。「マクロで物事を考え、ミクロに行動
する」ことをモットーに即時業績向上・目的達成と組織体の
体質改善の継続的な仕組みづくりを目指したコンサルティン
グを行う。
<得意分野>
●販売戦略立案(ターゲット、販路、販促、ツール等)
●施設活性化コンサルティング(売上・モチベーション向上)
●店舗開発企画プランニング

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