第065号 消費の上と下

 最近は戦争、SARSと暗い話題が多く、明るい材料の少ない観
光旅行。低迷する年間市場規模もなかなか回復してきません。
 こういう時こそ船井流長所伸展法です。「伸びているものを
さらに伸ばすとうまくいく」という原理原則にしたがい、伸び
ているものを探してみました。
旅行代理店最大手、JTBが発行している「JTB宿泊白書」
を見ていくと、宿泊料金帯別に宿泊人員の推移を示したデータ
があります。これによると、確かに国内宿泊観光旅行の市場全
体は厳しい状況にありますが、料金帯別に見ると、宿泊費5,000
円以下と30,000円以上は1999年頃から明らかに伸びています。
価格帯の上と下の需要が伸びて、中間価格帯は縮小する…二極
化とも呼ばれるこの現象は、旅行業界に限ったことではなく、
さまざまな消費分野で起きているのです。
 成長した消費者は、合理的に安く済ませても良い時は、トコ
トン安さを追求します。かたや自分のこだわりやライフスタイ
ルを実現するためなど心から納得できている時は、いくらでも、
といっては大袈裟かも知れませんが、かなり気前良く高額支出
をしているのです。
 ですから、いま業績の良いところは、この消費者の変化に上
手に対応してマーケット拡大の波にのっているところで、業績
不振のところは、その対応が遅れ、中途半端な縮小マーケット
の中にいる、という見方をすることもできるのです。
 もうひとつ言うと、今マスコミでは「デフレ」という言葉が
毎日のように出てきていますが、安くなければ売れないという
ことでは決してありません。前述の宿泊費で言うと、一番伸び
率が高いのは、実は40,000円以上の価格帯なのです。
 価値のある本物を提供し、消費者を心から納得させることが
できれば、高額であっても売れていく。そんなマーケットが拡
大しているということを念頭に、まちおこしの方向性を考えれ
ば、また違った答えが出てくるかも知れません。(望月)

地方創生セミナーのご案内

コンサルタントコラム

ページのトップへ戻る