第055号 案ずるより生むが易し

地域振興のお手伝いをしていて、「まちおこしの必要性は皆
わかっているのに、中々話が進まない」ということがよくあり
ます。
 学生の頃、地元の和太鼓クラブに入っていました。地域振興
の一環で有志を募って活動するクラブでしたが、入部した当初
から「メンバーを増やして、地域の振興にもっと貢献するクラ
ブにしたい。」という会話が飛び交っていました。
 しかし現実にはなかなか新規のメンバーは集まらず、逆に転
勤や就職などの理由で、一人、また一人とメンバーが減ってい
くという状況になっていったのです。
 そんな状態が続いたある日、「これではいかん!」とメンバ
ーの一人が立ち上がりました。
そして既存メンバーの知人を誘っていただけの勧誘方法を改め、
自治体が出している市内報にメンバー募集の広告を載せる、体
験イベントを月に2回ほど実施する、今後イベントで出演した
際は必ずメンバーを募集している旨をアピールする、といった
ことを実行しました。
結論から言うと、これらを実行したとたん、あっという間にメ
ンバーは倍近くにまで増えました。これまで職場の仲間同士が
主だったメンバー構成も、学生や主婦といった人たちまで参加
するようになり、「この1年間のメンバー不足は何だったのだ
ろう?」と思ってしまったのを記憶しています。
 まちおこしでも同じような状況があって、「あんなことをや
ったらどうか」と漠然とは思っていても、その先に一歩踏み込
めないために、いつまでも話が進まない例が多い気がします。
立場や意見の違いもあるのでしょうが、まずは「やる」と決定
すること。そして第一歩を踏み出すこと。そうすればアイデア
が集まり、皆が一丸となって課題解決に取り組みはじめます。
意外と課題のハードルは低かったと気づくケースもあるはずで
す。
 その後かつてのクラブメンバーが、「鼓童(こどう)」とい
う世界的に活動する和太鼓集団へチャレンジし、今ではそのメ
ンバーとして世界を飛び回りながら和太鼓文化の発信に努めて
いると聞きました。サクセスストーリーを聞いて、クラブのメ
ンバーは膨れ上がり、より大きな公演を行い、地域イベントを
盛り上げているとのことでした。「メンバーが足りない!何と
かしなきゃ!」と言っていた頃が嘘のように思えます。
                     (小林 祐司)
◆鼓童ホームページ
 ⇒ http://www.kodo.or.jp/

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