第027号 宮崎県綾町その4

 「医食同源」という言葉をご存知でしょうか?日頃の食生活は日々の健康に
通ずる、という予防医学的な考え方なのですが、宮崎県綾町には、この医食同
源の考えのもとに独自のメニューをつくって話題を呼んでいるレストランがあ
ります。薬剤師や百姓などの肩書きをもつ郷田美紀子さんが、オーナーを務め
るレストラン「薬膳茶房オーガニックごうだ」です。
 郷田さんのレストランのメニューには、自らが畑でつくった無添加・無農薬
の野菜が食材として使用されています。「食べ物は、人の体の肥料であり、な
によりの薬でもあります。よい食べ物とは、できる限り無添加・無農薬は当然
ですが、味として感じる”酸・苦・甘・辛・鹹(しょっぱい意味)”の五味調和
が重要です。」とおっしゃっていて、実際に食べてみると、確かに一つ一つの
食材の甘さや苦さなどがうまく調和していて、とてもおいしいと感じました。
 この「薬膳茶房オーガニックごうだ」を訪問した時は、まだお店が開店する1
時間以上前だったのですが、「お店の評判を聞いてやってきました」「是非オー
ナーとお話をしたい」という方が突然お店に入ってこられたりするなど、短い
間にもお店の好評ぶりが感じられました。
 お店にきたいろんな方ともお話しましたが、みなさんの言葉に共通していた
のは、「オーナーの郷田さんの食に対する考え方には、非常に共感しています。
オーナー手作りの無農薬野菜を使ったメニューが食べられると聞いて、またお
店が大自然で有名な綾町にあると聞いて、一度は行かなければと思った。」と
いったことでした。
 綾町は日本でも最大級の大自然が残る町として、全国の人々に知られていま
すが、食べ物にこだわりを持った方たちがまず「食膳茶房オーガニックごうだ」
を知り、そのあとにお店のある綾という町を知り、よし綾町に行ってみようと
いう流れもかなりあるようです。そのようにして綾町を訪れた人々はその雄な
大自然に心から満足していることでしょう。もしこれがオーガニックレストラ
ンでなく、まったく別のきっかけで訪れた人だったらどうでしょうか。場合に
よっては大自然のまちも、ただの不便な田舎町になってしまうかも知れません。
 まちおこしに限ったことではありませんが、コンセプトが曖昧だと、せっか
くの魅力もちぐはぐになったり中途半端になったりしがちです。徹底して一貫
性のあるコンセプトのもとにまちおこしが進められてこそ、ひとつひとつの魅
力がさらに相乗効果を生むようになるのです。綾町はなぜこれほどまでに多く
の人に愛され、「まちおこしの成功事例」といわれるのか?その理由のひとつ
がこの「一貫性」にあるのは間違いないでしょう。

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