第026号 村営ビジネスのあたたかさ

 こんにちは、増島です。前回は地元のお祭りの話を取り上げさせていただき
ました。今年のお祭りはどうだったかと言うと、なんと前年の2倍以上の来場
客で溢れました。近隣の商店街主催のお祭りが中止になったことで遠方からも
人が集まり、大変にぎわったようです。さて今回のお話は、私の祖母の実家が
ある、スキーで有名なある村のお話です。
 長野県下高井郡野沢温泉村。「野沢温泉」と言えば山スキーを愛する人は誰
もが知っていると言われるほど有名なスキー場です。また、まちおこしに関心
をお持ちである読者の皆様であれば、まちおこしの成功事例としてご存じの方
も多いかも知れません。野沢温泉村は中世の頃から続く自治組織として「野沢
組」と呼ばれる任意団体があります。もともと地域の山林や水など共有財産を
管理することを目的とした野沢組は、今ではスキー場や共同温泉浴場を運営・
管理しており、地元の旅館・民宿の多くが地元資本で経営されています。その
結果、行政が陥りやすい硬直的な運営や、多くの企業に見られる利益優先の運
営ではない、柔軟でユニークな運営が実現されています。最近ではこの野沢組
の取組は、行政や企業に属さない自治組織が地域ビジネスを経営している成功
事例として、さまざまなところで注目されています。
 私もスキー客として何度も訪れていますが、実際に民宿に泊まり、スキー場
を利用し、外湯につかり、行楽気分を満喫する中で、野沢温泉特有の「人つな
がり」を感じることができます。
例えば、「駅前のおみやげ屋さんの甥っ子が、スキー場の○○ゲレンデにある
リフト乗り場で働いている」とか、「昼食を食べた山の上の食堂でおばさんか
ら紹介してもらった民宿は、実はおばさんの妹が経営している民宿だった」で
あるとか、村ぐるみでスキーというビジネスを盛り立てていることが、肌身に
染みて感じられます。スキーブームが過ぎてずいぶん久しくなりますが、現在
でも野沢温泉村の熱烈なファンが多いのは、このような人つながりが生み出す
温泉村の人々の包容力・暖かさが、他のスキー場にはない魅力として観光客に
支持されているからではないでしょうか。
(増島 清人)

地方創生セミナーのご案内

コンサルタントコラム

ページのトップへ戻る