第025号 担ぎ手は何処へ

 普段は仕事中心の生活で隣近所とのお付き合いがほとんどなかったのですが、
今年は町内会の委員となり、祭りの準備に携わることとなりました。準備の打
ち合わせに出席すると、神輿の担ぎ手が足りない!とのことで、いつの間にか
神輿まで担ぐこととなりました。
 実は本格的に神輿を担ぐのは初めての経験で、いまだにちょっと肩が痛いの
ですが、とても楽しい思いをさせてもらい、近所の人たちともすっかり仲良く
なることができました。
 地方では、よく「若者が都会へ流出し、神輿の担ぎ手が少なくなってしまっ
た」という話を耳にします。ではその若者が行った先の都会はどうかというと、
実はここでも神輿の担ぎ手は少なかったのです。もちろん地域によってはまだ
盛大にやっているところもありますが、全国的にはおそらく担ぎ手不足のとこ
ろが多いのではないかと思われます。
 担ぎ手不足の原因は、上記からわかるように、(1)若者の減少(流出)
(2)地域活動への参加率の低下というふたつが挙げられます。(1)は大
きな流れであり、急には変えられないかもしれませんが、(2)はそうでもあ
りません。まだ地域になじめないでいる人たちも、ちょっとしたきっかけがあ
れば地域活動に参加する可能性は大いにあるのです。
 実は私の住む町内会では、担ぎ手不足のわりに神輿が立派であったため、こ
こ数年は他の地域から応援を要請し、プロ(?)の担ぎ手がたくさん入り込ん
でいました。しかしその結果、本格的になり過ぎて地元の人たちが近寄りがた
くなり、祭りがますますさびれてしまったのです。
 去年「これではいけない、もう一度祭りを町内のものとして取り戻そう」と
いう機運が高まり、担ぎ手の応援要請を止め、町内会のメンバーだけで担ぐよ
うにしたところ、やはり担ぎ手が足りず、大きな神輿を担ぐ人達は大変な思い
をしたそうです。
 しかしその経験から今年は熱心な勧誘をするようになり、かなり新しい担ぎ
手が増えてきました。彼氏や夫、お父さんが神輿を担げば、自然と祭りそのも
のにも参加する人が増え、祭りは昔の賑わいを取り戻してきたのです。
 核家族化や引越しによって、どうしても近所付き合いや地域活動から遠ざか
りがちになる人が増えていると思いますが、別に地域活動が嫌いなわけではな
く、ちょっと気後れしていたり、きっかけがなかっただけという人も実はたく
さんいるはずです。
町内会メンバーは「来年はもっと盛大にできそうだ。」と、確かな手ごたえを
感じているようでした。
(望月 義尚)

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