第023号 「たぬき公園」ものがたり

 はじめての登場です、増島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は自己紹介を兼ね、私の地元の出来事のお話しをしたいと思います。実際
に昨年まで運営に関わっていた、ある地域のお祭りのお話です。
 私の地元は自治会活動が盛んなところで、親子揃って野外キャンプや相撲大
会、焼きいも大会等々、盛りだくさんのイベントを毎年行っていました。しか
しながら近年、少子化の波を受け参加人数が少なくなり、毎年恒例の夏祭りを
残して活動自体も開催されなくなっていきました。そこへ持ち上がったのが、
区画整理による公園の宅地化計画の話でした。
 もともと市の所有地であった公園には、昔から近所にある神社のお宮さんが
祭られていたのですが、このお宮さんを移転するとともに公園を宅地に変えて
しまおうという計画です。
「たぬき公園」と親しみを込めて呼んできたこの公園は、数々のイベントの舞
台でした。自治会のイベントをはじめ、遊び場所にしても、友達との待ち合わ
せにしても、何かあれば「じゃ、たぬき公園で10時ね!」というように、地
域で暮らす人達・町のシンボルでした。
 そんなたぬき公園がなくなってしまっては一大事!若者を中心に、昔は若者
と呼ばれたおじさん・おばさんまで、町の公民館に集まります。なにか上手い
方法はないかとみんなで悩み抜いた末、毎年行っているお祭りを使って公園の
必要性をアピールできないか、と思いつきました。お祭りをにぎやかに開催し
ているところへ市長を招き、たぬき公園が地域に必要であることをアピールし
ようと考えたのです。考えがまとまれば、後は行動あるのみ。地域のお年寄り
から小・中学生に至るまで、それぞれの人つながりを頼りに声をかけ始めます。
おもしろいもので誰かが声を挙げてしまえば後はトントン拍子でことは進むも
の。数々の苦労があったものの、無
事大成功を納めました。めでたし、めでたし。
 実は、このお話は私が高校生時代の頃のことです。あの公民館での会議から
すでに10年近くが経った今でも、お祭りは代々若者へと引きつがれています。
今年も9月第2週の休日(ちょうど来週ですね!)がお祭り当日。当然のこと
ながら、たぬき公園も以前と変わらぬ形で存在しています。
 いま振り返れば、お祭りはいろんなことをもたらしてくれたようです。ちょっ
と縁遠くなっていた小学校時代の同級生、近所のおじいちゃん、そしてお祭り
を通して知り合った新しい仲間達等、多種多様な知り合いの輪を広げてくれま
した。
また、かつては当たり前であった、近所づきあいの楽しさを改めて認識できま
した。
 公園の撤去計画という危機感の中から見いだされた「お祭り」というイベン
トでしたが、決して使命感や義務感に迫られて参加したものではなかったこと
がイベントを成功させた要因に挙げられると思います。お祭りを楽しみながら、
参加者同士がコミュニケーションをはかる中で、しだいに地域の重要性や世代
を越えた交流の大切さを感じ取っていくことができたからこそ、継続的なイベ
ントとして存続することができているのでしょう。
(増島 清人)

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