第158号 貸し農園の持つ可能性

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   第158号 発 行:株式会社船井総合研究所
       事務局:TEL 03-5434-7656 小林 祐司
       E-mail:info@machiokoshi.net
──────────────────── 1,904部発行───
        <<<今週のコンテンツ>>>
■今週のまちおこし── 貸し農園の持つ可能性
■通算150号達成記念!新連載「地域再生行脚100」
                -No.09 『吉野山』
■船井総研からのお知らせ
─────────赤字削減のための簡易診断コンサルティング  
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■ 貸し農園の持つ可能性
 こんにちは、小林です。日本一高い山(富士山)と二番目に
高い山(北岳)、甲斐駒ケ岳、そして八ヶ岳を一望できる場所
に行ってきました。そんな絶景の地を訪れた理由は、八ヶ岳南
麓で貸し農園を運営されている「八ヶ岳あおぞら農園」をご訪
問させていただいたからです。1月に日経新聞で紹介された所
であり、記事からも強い魅力を感じていただけに実際に現地を
拝見したときは、素晴らしい借景も手伝って、ちょっとした感
動を覚えました。
 農園代表の浅川様にお話を伺ったところ、まちおこしやビジ
ネスに非常に参考になるご意見をたくさんお聞きする事ができ
貸し農園の持つ強い魅力をいくつも感じました。
 まず地域コミュニティ構築の可能性です。農園に参加した方
の間には、野菜の収穫祭や登山といったイベントを通じた交流
が生まれ、スキーやテニスのサークル活動も立ち上がるなど、
新しい連携の輪が広がっています。中には居心地の良さにこの
地に永住される方もいらっしゃるほどです。
 次に事業性についてです。事業が成り立つには、そこに需要
が必要ですが、あおぞら農園に限らず各地の市民農園は希望倍
率が非常に高く、特に首都圏では100倍の倍率になることも
あります。基本的に貸し農園、市民農園はどこも定員待ちの状
態ですし、現在あおぞら農園に参加している方の9割は地元以
外、つまり遠くから来ているというのも驚きの事実です。20
07年に団塊の世代が定年を迎えたら、また今後の高齢化社会
の到来も含め、希望者は想像を絶する数になると思われます。
同時に投資が少ないこと、運営が比較的シンプルなこと、コス
トがあまりかからないこと、他企業からの誘いも多いことなど
事業性を高める要素がいくつも挙げられます。
 まだあります。貸し農園は社会貢献として役立つ可能性も秘
めています。自然に触れる場を提供すること自体が社会貢献と
も言えますが、収穫した作物をレストランや介護施設の食材に
使用してもらったり、ちょっと大きな話ですが海外で食糧が不
足している地域への支援に役立てたりなど、様々な形で世の中
に寄与する可能性があります。ある自治体ではビルの屋上で利
用者に楽しみを提供すると同時に、ヒートアイランド対策とし
ての試みも行われています。これは参加者の「やりがい」とい
う面でも、とてもおもしろい取組みだと思います。
 どうでしょう。あおぞら農園の浅川様が貸し農園を始めたの
は8年前。休耕地を活用しようと手探り状態で始めましたが、
参加希望者が年々増え続け、最初は8区画だったのが今では何
と150区画以上になり、今後も利用面積と参加者を増やして
いくということです。皆さまのまちにも休耕田や余った土地な
どがあると思いますが、既に貸し農園事業があるところはもち
ろん、まだのところもこういった取組みがまちおこしにとって
も非常に魅力的なものだと思いませんか?
 これまで多くの取材先を訪問させていただきましたが、今回
の「八ヶ岳あおぞら農園」は、まちおこしの一つの形としてこ
れまでにない、新しい可能性を持ったところだと感じました。
(小林 祐司)
◆八ヶ岳あおぞら農園ホームページ
 ⇒ http://www.net-farmers.com/
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○今回の執筆者紹介 小林 祐司(こばやし ゆうじ)
 船井総研入社以来、地域活性化、社会貢献をキーワードに
業務活動を行う。自治体、民間企業を問わずにコンサルティ
ングを続け、寝る間も惜しんで全国を奔走。「農」の持つま
ちおこしの可能性を追求している。
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    ◆◆「農園」取材先募集・第1弾!◆◆
 ~ 関東圏の「農園」・「貸し農園」を運営されている方
   メルマガ「週刊まちおこし」で紹介してみませんか?~
「うちの農園を自慢したい!、紹介したい!」という方がいらっ
しゃいましたら、下記までお気軽にご連絡ください。
 船井総研スタッフがご訪問させていただきます。もっと参加者
を増やしたい、事業性を高めたい、満足度を高めたい、などなど
自慢話・紹介話以外の話も含めて、色々とお聞かせください。
・お問い合わせはお気軽に ⇒ TEL:03-5434-7656
  ⇒ e-mail:info@machiokoshi.net
  まちおこし編集長(小林)までどうぞ。
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 ■ 地域再生行脚100 ~期間増長戦略~
         -行脚09   『吉野山』
 こんにちは、古川です。行脚の第9回は奈良県吉野郡吉野町
の吉野山の桜についてです。吉野といえば「吉野桜」だけでな
く「吉野杉」「吉野葛」「吉野和紙」と、どれをもってしても
日本で一流とされている地域ブランドがあります。その中でも
圧倒的にその地位を現在でも揺るぎないものとして存在してい
るのは「吉野山の桜」でしょう。
 歴史的起源は1300年前からあるそうですが、最も有名なのは
豊臣秀吉が絶頂を誇る勢力を持っていた頃、徳川家康や伊達政
宗を引き連れ、約5千人ものお供を連れて花見に行ったこと。
また、日露戦争勝利を祝して増殖した、国家の象徴的な桜の山
であること。修験道の本山である金峯山寺があること。などな
ど、文化的歴史的な重みは充分にあります。200種、3万本の桜
の花は、見るに圧巻です。その美しさ、目の前に広がる桜色の
もやが織り成す絵巻物のような壮観な景色は、春の麗らかなこ
の時期に毎年見ないではいられない気持ちにさせます。
「花より団子」とはよく言いますが、ここは酒に興じる人が少
ないようにも思います。さて役場に聞いてみました。
吉野山の年間観光客 概算
平成12年  73.5万人
平成13年  79.0万人
平成14年  78.0万人
平成15年  78.0万人
平成16年 101.4万人
~吉野町役場 文化観光商工課より~
 昨年の観光客数の急増は桜の時期を過ぎてはいましたが「世
界遺産登録、吉野熊野古道」が関係しているとは思われます。
しかし、とにかく一定規模の観光客確保のために様々な活動を
されているのを感じます。これだけ観光客が来るのは、本当に
ただ歴史的文化的重みだけなのでしょうか。やや違う視点で考
え、私なりに何らかの理由(観光成功の要因仮説)を探ってみ
ました。
 その理由には
1)期間増長戦略 その1
2)期間増長戦略 その2
があるように思います。その1とは、桜開花時期の幅の広さです。
ご存知の方も多いと思いますが、吉野山の桜は「下千本」「中千
本」「上千本」「奥千本」とに分かれており、下から順番に開花
していきます。それゆえ、約一ヶ月常に咲き続けているという状
況を演出することができます。期間増長戦略その1とは、「ズレ
演出」のことであり、絶対的な量を時間的に相対的に分散させる
ことによって、顧客の獲得を平準化安定化するという方法です。
天候で時期がずれても大きな失望を与えることはないでしょう。
その2とは、吉野山とは、「春だけではありません」と言わんと
するポスターが駅に張ってあり、春という領域を飛び越えたメッ
セージを感じました。「春夏秋冬」それぞれに山の風景を水彩画
で示したポスターがあったのです。「また来年来よう」と想い、
近鉄列車にのって、大阪阿部野橋行きに乗り込むとき、夏も秋も
来ようかしらと思わせることです。確かに春の時期に売り上げの
約8割を確保するという(言われている)お土産屋や茶屋ですが
春だけではないという気持ちを掻き立てます。これらの期間増長
戦略その2もやや利いているようにも思えます。
 もちろん、その他にも理由はありましょう。大きなこだわりか
ら小さなこだわりまで、一貫して観光客獲得への様々な方法が見
られます。歴史だけに頼っているという姿勢は感じられませんで
した。
 さて予断ですが、ある絶景が堪能できる茶屋の亭主が次のよう
におっしゃっていました。「ずっと毎年見てるとね、長い時期咲
いてるっていってても、やっぱりこの一日っていう最高の日があ
るんだよ。その日が一番楽しんだ。」とおっしゃっていました。
プロの目ですね。このプロにしか見えない世界を知っている「茶
屋」。しいたけご飯は絶品でした。今週末が最盛でしょう。
                        (古川大輔)
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○執筆者紹介 古川 大輔(ふるかわ だいすけ)
農学修士。今年度から、大学院時代の専門を活かしながら、地域
ブランド創造チームを、杤尾と共に創設。現在、「名もなき市町
村のブランド化戦略」に挑戦しており、常に、「持続可能」と「
利潤追求」の2つのテーマを追求している。
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■ 船井総研からのお知らせ
 ◆赤字削減のための簡易診断コンサルティング
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 どういった考え方・行動が必要かをご提案いたします。
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・お問い合わせはお気軽に ⇒ TEL:03-5434-7656
  ⇒ e-mail:info@machiokoshi.net
  まちおこし編集長(小林)までどうぞ。
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