第090号 まちの三十六景

■ まちの三十六景
 先月、紅葉真っ盛りの時期に富士山近辺を訪れる機会がありま
した。黄金色や赤に色づいた秋の景色に、雪化粧した富士山がひ
ときわ映え、さすがは日本一の山、と感動しました。
富士山を眺めていて、葛飾北斎の「富岳三十六景」という言葉を
思い出しました。三十六景がどんな場所から描かれたものだった
のか、ひとつひとつ辿っていくのもなかなか面白い観光コースに
なりそうだ、などと思いながら、まちの景勝地について考えまし
た。
 豊かな自然環境と四季の変化に恵まれた日本には、素晴らしい
景勝地がたくさんあります。富士山に限らず、○○の滝、××の
岩、というように、どこの地方にも見る者を唸らせるような景色
があるものです。しかし、その地域の景勝地が観光コースとして
設定されているかというと、まだそうでないところもたくさんあ
りそうです。
 四季折々の景勝地めぐりを観光コースにすれば、それを見て回
る観光客は、自然と地域全体を回遊することになります。例えば
年間三十六景、ワンシーズンで九景もあれば、1日では回りきれ
ず、宿泊してくれる可能性も高まるでしょう。
「このへんはそんなに景勝地がたくさんないよ」と思われるかも
知れませんが、絵葉書になったり、ガイドブックに掲載されてい
るような雄大な景勝地でなくとも、日常生活の中にも、ちょっと
絵になる風景というものがあるはずです。そんな風景も、他の地
域から来た人の目には新鮮に映るものです。例えばそれを住民公
募で集めてみてはいかがでしょうか。
 通年観光化、回遊性アップ、宿泊率アップとなれば、大変な経
済効果が出てくるはずで、たかが観光コースと軽視はできません。
 景勝地は、同じものはふたつとない、その地域固有の長所です。
ぜひとも各地の素晴らしい景勝地を掘り起こし、それを積極的に
PRしていただければ、意外な効果が生まれるのではないかと思
っています。(望月)
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○今回の執筆者紹介 望月 義尚(もちづき よしひさ)
東京第二経営支援本部チームリーダー。
飲食店や小売店、温浴施設などの開業支援では、斬新なコン
セプトづくりと緻密な事業計画で数々の超繁盛店を開発して
いる。
また売上アップ支援、全国各地の地域振興などで幅広く活躍
し成果を上げている。商工会や地方自治体等での講演実績も
数多い。

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