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熊本県菊池郡七城町。人口は約6100人で、メロンと米による地域ブラン ドづくりに成功した小さな農業の町です。この七城町のサクセスストーリーは、 『平成の奇跡』とも言われ、全国からの視察も増えています。…ということを 以前このメルマガの28号でご紹介しました。 その七城町が、今揺れ動いています。その理由は「市町村合併」です。七城 町のまちおこしの成功要因はブランドづくりにあります。それは「七城」の名 前を冠したメロンや米の品質に徹底的にこだわり、守りぬくことによって築き 上げてきた信頼です。 もし市町村合併したら、メロンドームは他の市町村の農家にも出荷が開放さ れることになります。そうなった時に、「七城」ブランドはどうなってしまう のか。 農産物のブランドだけではありません。七城町が地域づくりの基本理念に掲 げる「町民参加」と「自然環境保全」もどうなるかわからなくなります。 七城町では、平成十一年に里山保全条例を制定。町内のすべての山、池、沼 を「里山」指定し、乱開発に歯止めを掛けました。対象は百五十ヘクタールに も及ぶ規模です。さらに、区長会がボランティアで菊池川と迫間川など町内を 流れる河川の土手に町花コスモスを植えてきました。 小さな町だからこそできたまちづくりを、市町村合併という大きな枠組みの 中でどう守っていくのか。一村一品運動で成果を上げてきた七城町だからこそ、 市町村合併にどう動くかは、あまりにも大きく、難しい選択に違いありません。 緒方町長、そして七城町民のみなさんの英断を見守りたいと思います。 (望月 義尚)
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