第152号 貸し農園でニーズをつなぐ

────── 読者数日本一のまちおこしメルマガ ──────
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   第152号 発 行:株式会社船井総合研究所
       事務局:TEL 03-5434-7656 小林 祐司
       E-mail:info@machiokoshi.net
──────────────────── 1,873部発行───
        <<<今週のコンテンツ>>>
■今週のまちおこし── 貸し農園でニーズをつなぐ
■通算150号達成記念!新連載「地域再生行脚100」
    -No.03 『 諸塚(もろつか)村 
                 ~FSC認証・産直住宅~』
■船井総研からのお知らせ
─────────赤字削減のための簡易診断コンサルティング  
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■貸し農園でニーズをつなぐ
 貸し農園の話題をよく聞きます。ここでいう貸し農園は、都会
の方が地元農家の提供する土地を借りながら月に何度か農園と農
作業を楽しむものですが、最近貸し農園を利用する方が増えてい
るようです。
 貸し農園では都会を離れ、自然の中で心身ともにリラックスす
ることや、農作業で栽培した野菜を収穫し、さらに料理をするこ
となど、特に都会で働く人たちにとってはとても魅力的なことが
たくさん体験できます。それを反映してか、一定期間農園を借り
て更新期間を迎えてもそのまま借り続けたいと申し出る方が多く、
新しく参加する方も加わって徐々に貸し農園の面積が増えている
といった話を聞きました。
 地方回帰の兆しが見えるとは言え、都市部にはまだまだ圧倒的
に人口が多く、その大部分の方が森や美味しい空気ではなくアス
ファルトやコンクリートに囲まれて生活しています。当然自然へ
の憧れが高まるでしょうし人気の高さは分るのですが、ここまで
人気が高い理由は他にもあります。実際に貸し農園に参加してい
た立場で言わしていただくと、貸し農園はとても気軽な気持ちで
はじめられるのです。よく脱サラして農業を始めたといった話も
聞きますが、多くの方はそこまでして自然に身を置くにはちょっ
と抵抗感というかリスクを感じるもので、できれば今の生活を維
持しつつ自然との関わりを取り入れたいというぐらいの方がほと
んどです。その意味で都会から車で2時間程度離れた場所で、月
に2回ぐらい農園気分を味わうというのは、絶妙のサービスなの
です。
 
 貸し農園では都会と地方の交流も生まれますし、何年か営業を
続けるとまちの活性化に一役買うようにもなります。都会の方の
「自然を欲する気持ち」と、地方の方の「より多くの人が地元に
訪れて欲しい」という気持ちは、貸し農園のような媒体を介する
ことでよりスムーズになることがわかります。
 先日も貸し農園の記事が新聞に出ていました。やはり新規の参
加者が増えて、農園を増やしたということが書かれていました。
それを読みながら、まちおこしには貸し農園のような互いのニー
ズを結ぶ「媒体」も必要なのだと思いました。(小林 祐司) 
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○今回の執筆者紹介 小林 祐司(こばやし ゆうじ)
 船井総研入社以来、地域活性化、社会貢献をキーワードに
業務活動を行う。自治体、民間企業を問わずにコンサルティ
ングを続け、寝る間も惜しんで全国を奔走。最近まで「徹夜
の小林」と言われていた…。
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■ 地域再生行脚100 
      -行脚03『諸塚(もろつか)村 
                 ~FSC認証・産直住宅~』
 こんにちは、久々に登場の地域ブランド創造チームの古川です。
現在、林業振興や山村復興にターゲットを当てて全国行脚をして
おります。よろしくお願いします。
 
○地域づくりはビジョンを貫くことから
 最近様々な地域で、「山の現場」から家作りの過程を見せる体
験ツアーが見られるようになりました。先月には、「素敵な宇宙
船地球号」というテレビ番組内で、家を建てる施主さんが木を切
る現場を実際に見て体験するという取組が紹介されていました。
家作りは材木選び。材木選びは山選び。山選びは山村の文化選び。
すなわち、家作りは山村文化体験という流れが今の時流になって
きています。「施主さんと山村の縁を大切にする」という理念の
もと、産直住宅の発祥とも言われる宮崎県諸塚村の「産直住宅ツ
アー」に参加する機会を得ました。
 ここで体験したことや感銘を受けたことは、このメルマガ内で
書きつくせないほどたくさんありますが、強いてひとつあげると
すると、その「ビジョンの強さ」でしょう。10年ほど民間企業
で働いた後Uターンし、現在は産直住宅のディレクターとしてご
活躍している役場職員矢房氏と、耳川広域森林組合、諸塚支所加
工課長の黒木氏をはじめとした様々な方にお会いして強く感じた
のが、「私の村には、森林しかない」「それを強みに都市の方と
山村文化の想いを汲んで、家造りを一緒にしたい」というビジョ
ンの明確さでした。今回のツアー内で「結局、この産直住宅は安
いのですか?」というお客さまのご質問に対して語られた矢房氏
のお考えにこそ、名もなき、資源なき、金なき地域における地域
づくりの秘訣があると感じました。
○ビジョンを貫く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ○家は買うものではなく、創るものである。
 ○安さ訴求のお客様に、産直住宅は要らない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   
「産直だから、市場を通してないから、安価だと思ってここに来
る方がいらっしゃったら、別の方法で家を買っていただきたいと
思います。我々はあくまでも、この理念や山の文化を守るという
趣旨に賛同された方にのみ、適正な価格で提供するというのが目
的なのです。」
「ですから、山、工場、すべてを皆様にお見せして、納得するか
たちで家を作っていただきたいのです。そのためのFSC認証で
す。家とは、買うものでなく創るものです。施主さんが山を知り
木を知り、創っていくものなのです。一生のモノですから。大手
メーカーさんの規格に、施主様が合わせる必要はないのです。」
 聞いていて「何と強気な」と思いました。もちろん、諸塚式産
直住宅の欠点も素直に話しておりましたが、まず値段ありきの世
界ではないということを徹底して伝えようとしていて、その考え
とビジョンは極めて明確でした。参加者は誰一人不満な顔をして
いませんでした。今年度の受注は「品質確保」のため、来年度に
まわしているほどだそうです。値段だけで選んでくれないで欲し
いという強固な姿勢を貫いていたことに、ビジョンを貫く強い姿
勢を肌で感じました。
 ビジョンなき村、コンセプトなき商売になんの魅力もないと語
る矢房氏。積極的に建築関係の雑誌に投稿しており、この諸塚の
取組は各種新聞社にも取り上げられています。私が諸塚村の魅力
をここで語るのはおこがましいですが、矢房氏の回答は地域づく
りに関わる皆様を勇気付け、こころに刺さるに十分な強さを持っ
ていると思います。「もろづかブランド材」が広く知られる日は
近い事でしょう。(古川大輔)
■Information■
□諸塚村
林野率95%、人口2200人、宮崎県北西部。杉と広葉樹と
の林相が夏は、美しい。産業は「林業」「お茶」「しいたけ」
「畜産」。森林保全の世界標準規格であるFSC認証を取得し
たり、積極的な林業活動を展開。農業・畜産業も充実しており、
若い方は多い。また、車道密度が日本一(54m/ha超)で、林
道整備は充実している。合併協議会から離脱し、合併せず独立
を選んでいる。
諸塚村サイト
 ⇒ http://www.vill.morotsuka.miyazaki.jp/index.htm
□産直住宅ツアーについて
 年4~5回実施、今回が37回目。
<1>山→加工センター→モデルハウスまで一連の流れを全て
見学できる。林業現場(葉枯らし現場)、諸塚村木材加工セン
ター、産直住宅モデルハウスの視察見学会。<2>役場職員、
森林組合職員など地域住民との交流会によって親近感を創出
<3>地元の伝統芸能の「神楽」見学し、山村文化を体験し、
再生子民家に宿泊し、山村文化の価値共有化を図る。
□参加者
主に参加者は、これから、家を買う予定のある、若者世帯家族
と、引退して第二の人生を楽しむご夫婦様が参加していた。今
回は、約20名の参加でしたがが、多い時で、50名も参加さ
れた。矢房さんによれば、20名くらいが運営上、実働上、丁
度良いとのこと。
□参加費用
 大人1人  8000円  夫婦 12000円
□年々増えていく諸塚村式産直住宅
平成9年に産直住宅プロジェクトを開始し、2棟の着工があっ
て依頼、棟数を増加させており、平成17年3月現在で、83
棟が建築されている。
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○執筆者紹介 古川 大輔(ふるかわ だいすけ)
農学修士。博士課程中退後、船井総研入社。有料老人ホーム、
給食委託業、リフォーム、防犯ビジネス、マンション管理会社、
注文住宅、動物病院、動物霊園など、様々な業界のコンサルテ
ィング業務に関わる。今年度から、大学院時代の専門を活かし
ながら、地域ブランド創造チームを、杤尾と共に創設。現在、
「名もなき市町村のブランド化戦略」に挑戦しており、常に、
「持続可能」と「利潤追求」の二つのテーマ
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■ 船井総研からのお知らせ
 ◆赤字削減のための簡易診断コンサルティング
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 を目的とした施設の簡易診断を実施いたします。
  診断では、可能な部分から業績を改善できるよう
 「効果実証済み」の成功事例をご紹介。施設として今後
 どういった考え方・行動が必要かをご提案いたします。
ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
・お問い合わせはお気軽に ⇒ TEL:03-5434-7656
  ⇒ e-mail:info@machiokoshi.net
  まちおこし編集長(小林)までどうぞ。
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