第089号 身近なイベントで

■身近なイベントで
 こんにちは、小林です。クリスマスといえば、ケーキを食べたり、
家の中を飾りつけしたりと、子どもの頃から楽しく過ごした記憶がた
くさんあります。皆さんもそんな経験があると思いますが、家の中だ
けでなく住宅地全部がクリスマス一色に飾りつけされた光景って見た
ことはあるでしょうか。
 東京都町田市にある三輪緑山住宅地(実家のすぐ近くです)は12
月になると住宅街の家々のほとんど全てがイルミネーションに覆われ
ます。クリスマスが近づくにつれ、飾りつけられた家の数と、見物に
訪れる人の数は増していき、イブの日などは、数百もの家々がサンタ
さんやトナカイ、光り輝くツリーで彩られ、その景色は、さながら夢
の国にいるような錯覚におちいります。この団地は普段はどこにでも
ある普通の住宅地ですが、クリスマスシーズンになると、イルミネー
ションを見物に来る人々と路駐の車で大賑わいになり、子どもはもち
ろん、大人までも無邪気に喜んでしまうぐらいの魅力的なまちに変貌
します。ここ1~2年は、ちょっと離れた隣の住宅地も真似を始め、
街全体のイルミネーションは、ますます広がりを見せているほどです。
 ことの発端は、何年か前の12月に数軒の家が、庭の木にツリーの飾
りつけをしたことでした。周囲の家々が次第に同じように庭や塀、玄
関にクリスマスの飾りつけを始め、数年後には、まち全体がミッキー
マウスのサンタさんや、全身電球光りのトナカイなど個性豊かなイル
ミネーションで覆われるようになったというのです。実際に住人の方
に話を聞くと、「近所の家が始めて、楽しそうだったからうちもやっ
てみました。別に難しくないし、クリスマスの飾りつけってやってて
楽しいじゃないですか。」という意見が返ってきました。
 これを聞いたときに、まちおこしをする上でも、貴重な考えだと思
いました。
クリスマスといえば、誰もが子どもの頃から慣れ親しんできたもので
す。家の中での飾りつけなら何度も経験してるし、ケーキを食べたり、
お菓子を焼いたり、楽しいイベントであることも間違いありません。
ある日誰かが庭の外で楽しそうに飾りつけを始めたら、真似する人が
出てきても何の不思議もないと感じました。
「何とか住民が自発的にまちおこしに取り組んでくれないか」と色々
苦慮している地域を時折みかけますが、このように、「家庭で親しん
できた楽しいイベント」というやり方がうまく行くケースもあるので
は、と思いました。
 よくよく考えると、生活の中にはクリスマス以外にも、たくさんの
イベントがあります。カレンダーをちょっとめくるだけでも、節分、
ひな祭り、子どもの日、七夕など、毎月何かしらの行事があり、それ
も全て子どもの頃から慣れ親しみ、楽しんできたものばかりです。
 住民主体のまちおこしを進めたいとお考えのところがありましたら、
ひとつは、上のように取り組んでみたらいかがでしょうか。
 楽しみ方を知っている住民たちが独自に参加してきて、「ひな祭り」
ならあのまちがすごい、「豆まき」ならあそこに行かなくては、とい
うまちにいつしか発展するかもしれません。(小林)

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