第081号 興味・関心は情報量に比例する

 今、私が住む地元(神奈川県藤沢市)の書店に行くと、他の
地域ではあまり見られない本が、入り口付近に平積みで大量に
陳列されています。こういう陳列の仕方をするということは、
「良く売れている」ということです。
 その本の題名は『湘南暮らし』。
湘南とは、神奈川県南部の相模湾に面した一帯のエリアを指し
ますが、この地域の良いところ、珍しいところ、意外な一面、
不便なこと、楽しみ方…などなど、ガイドブックには載ってい
ないようなローカル情報を軽快な文章ときれいな写真で綴った
一冊です。
 この地に住むようになって6年半になりますが、この本を読
んでみると、住んでいる自分も知らなかった情報がたくさん載
っていて、「一度試してみよう。」「こんど行ってみようか。」
という気持ちになりました。
その後実際にいくつか行動してみて、自分が暮らすまちの魅力
をあらためて知ることができました。
 「社員のやる気は情報量に比例する」という言葉があります。
企業の理念や哲学、歴史はもちろん、経営状態や経営計画、評
価基準、お客様の声など、具体的な情報を得てこそ社員にやる
気が起こり、経営者的発想で仕事にあたることができる。逆に
何もそういった情報がなければ、ただ指示された作業をこなす
ことしかできない、という意味です。
 このことは、まちおこしにもあてはまります。
ガイドブックに書かれているような一般的情報はもちろんのこ
とですが、もっと生活者の視点に立った詳しい地元の魅力や情
報を知らせることで、地域住民はまちにもっと関心を持ち、も
っと好きになります。
自分の住むまちが好きになり、そこに住むことにプライドを持
つ人が増えれば、それはそのまま、まちおこしのパワーにつな
がってくるでしょう。
そのためには、地域外部に向けた情報発信だけでなく、むしろ
地元住民に向けた情報発信こそが大切です。
そして住んでいる人もまた、そういった情報を求めているとい
うことを『湘南暮らし』という本がよく売れているという事実
から知ることができます。(望月)
◆書籍紹介:『湘南暮らし』 発行所:東京書籍
 著者:いしい きよこ 写真:石井 正孝 ¥1,800
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○今回の執筆者紹介 望月 義尚(もちづき よしひさ)
東京第二経営支援本部チームリーダー。
飲食店や小売店、温浴施設などの開業支援では、斬新なコン
セプトづくりと緻密な事業計画で数々の超繁盛店を開発して
いる。
また売上アップ支援、全国各地の地域振興などで幅広く活躍
し成果を上げている。商工会や地方自治体等での講演実績も
数多い。

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