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先日、神奈川県の小田原から発車する「箱根登山鉄道」に乗 る機会がありました。 箱根登山鉄道は、大正8年(1919年)に開通したわが国唯一の 本格的山岳鉄道で、スイッチバック方式で進行方向を前後に切 り替えながら、急勾配の斜面を登っていくのが特徴です。 行き先は箱根湯本や強羅といった豊かな自然と温泉に恵まれた 観光地。車内放送で通りかかる様々な見どころを紹介しながら、 二両編成の電車はゆっくりと山の斜面を登っていきます。 アナウンスにうながされつつ、移り変わる窓の外の景色を見 ていて、ふと気が付くと、どうやら外の景色を一生懸命見てい るのは私だけでした。 乗ったのは平日の昼間だったのですが、私以外の乗客はほとん どが学生や主婦など地元の方で、毎日見慣れている当たり前の 風景のようです。 箱根登山鉄道は、観光列車として車内放送をしたり、「あじ さい電車」などさまざまなイベントを企画しているのですが、 地元の人の生活にも何ら支障なくとけこんでいました。 逆の言い方をすれば、地元の人の生活交通手段が同時に観光列 車としての演出やサービスをしていても、何の不都合もないと いうことなのです。 多くの地方の公共交通機関は、生活者の日常的な足として利 用されることを前提に整備されてきたものと思います。しかし、 例えば電車やバスの車内放送を初めてその土地を訪れる人を対 象にした内容に変えてみてはいかがでしょうか。 四季折々にいろいろなテーマがあると思いますし、きっとそ の地域の観光振興に一役買うこと間違いなしです。地元の人に とっても、事務的なアナウンスや聞き飽きた地元企業の宣伝よ り、ずっと楽しいのではないかと思います。(望月) ◆箱根登山鉄道ホームページ ⇒ http://www.hakone-tozan.co.jp/
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