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先日あるテレビで過疎化の進む地域について番組を組んでい ました。その町では、工場の閉鎖が相次ぎ、若者はどんどん都 会に出て行ってしまうなど、活気がまるで感じられない状況で した。「この町を何とかしたい、という意見も最近では減って きた…。」と話す町民の沈んだ表情が最後に映し出されていま した。 番組を見た後、以前訪問した宮崎県綾町のことを考えました。 綾町はこのメルマガで何度もご紹介しましたように、かつては、 住民が一人また一人と家を出て行く「夜逃げの町」とまで言わ れていましたが、前町長を中心に自然保護を初めとしたまちお こしを展開し、今では年間100万人以上の観光客が訪れる九 州でも有数の観光地にまで発展した町です。 前町長のお孫さんに町内を案内してもらった際、何やら町内 の若者が多いことに気づき、「都会に出て行く人は少ないんで すか?」と訊ねたところ、「学校を卒業したら、みんな一度は 就職のため都会に出て行くけど、2~3年したらやっぱり地元 がいいと言って、戻ってくるんですよ。だいたい9割の人間が 戻ってきますね。」という返事が返ってきました。 「ここで作ってる野菜は、どこよりも栄養豊富です。もっとた くさんの人に食べてもらうために、良い方法を今考えていると ころです。」 「ここの水は日本名水百選に選ばれるほど。栄養豊富な野菜と おいしい水をもっとアピールして、豊かな町だということを今 以上に訴えたい。」 ちょっと話をしただけで、彼らから、随分前向きな意見がた くさん出てきました。 「週末の飲み屋でまちの未来について、皆で語り合うこともし ばしばです。みんな自分のまちに誇りを持っているんです。」 というセリフが非常に印象的でした。 住民が自分のまちに誇りを持つ。まちに誇りが持てれば、綾 町のように様々なアイデアが飛び交い、町自体が活性化してい きます。 誇りというと大げさに聞こえるかもしれませんが、「おいしい 野菜」、「おいしいお水」といった些細なことでも十分誇り持 つに値することは綾町が証明しています。 現在、日本の様々な地域がまちおこしに取り組んでいますが、 行動を起こす根源の部分に、「自分のまちは素晴らしい。」と、 周囲に自慢できる気持ちを持つことが、とても重要だと感じま した。 冒頭で書いた活気のなくなっている地域も、自分のまちにつ いて何か自慢したい事、訴えたい事を、些細なことでも見出す ことができれば、きっとそこがまちおこしの第一歩になるに違 いない、とあらためて考えさせられました。(小林) ◆綾町役場ホームページ ⇒ http://www.town.aya.miyazaki.jp/ayatown/index.html
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