第049号 身近なものの価値、未来の価値

 先日仕事で新潟県に行って来ました。まだ手つかずの自然
が残っているところで、元々が山育ちなだけに、その素朴な
風景と空気のおいしさに仕事を忘れて
「う~ん、癒されるな~。」と強く感じてしまいました。
 ふと地元の人が話しかけてきました。
「仕事でこっちにきたのかい?都会と違ってここにあるのは、
山の緑とおいしい空気ぐらいでつまらないだろ。」
 山の緑と空気のおいしさに、うれしくて仕方なかった身と
しては、
「そこがここの良さですよ。東京からここに来て、幸せを感
じているのですから。」と、言い返しました。
その方は間髪いれずに「何言ってんの。あっちはでっかい高
層ビルがあって、面白い人間がいっぱいいる。俺としては都
会に住んでる兄さんがうらやましいよ。」と、おっしゃいま
した。
 お互いに、無いものねだりと言えばそれまでですが、同じ
ものを目の前にここまで意見が正反対だと、ちょっと考えて
しまいました。
 自然の風景が残っていることは、それだけでも価値があり、
上手にアピールすることで多くの人々がその場所を訪れるよ
うになる可能性があります。ここで話題になったように、そ
れこそ面白い人たちがたくさんその地にやって来るようにも
なるのです。
 深い山中で素朴さにこだわった温泉郷が大ハヤリだったり、
自然をコンセプトに一貫したまちおこしを行った結果、不便
な交通環境ながらも、年間120万人もの観光客を集めてい
る成功事例も以前このメルマガでご紹介しました。
 ただ、そこに住む人たちが、目の前にある自然の豊富さや
素朴さが実はすごく価値があることに、そして10年後、50年
後の未来にはますますその価値が高まることに気づかなけれ
ば、このようなまちおこしが成功する可能性も芽生えないと
思います。
 地元の人には身近であたりまえかも知れませんが、たくさ
んの人がこの自然の価値を認めて訪れるようになる可能性は
十分にあるんだぞと、迫ってくるような深い森を目の前にし
て考えました。          (小林 祐司)

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