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先日奈良県の高取町を散歩する機会がありました。この高取町は古い製薬会 社や漢方薬局などの建物が建ち並び、万葉の時代から薬のまちとして発展して きた歴史を偲ばせています。 美しい町並みを歩きながら、「このような歴史的資産は、あと五十年後、百 年後にどれだけ残っているのだろうか。」と考えました。高取町は健幸のまち 宣言をしており、薬のまちとしての歴史を大切にするスローガンを掲げていま すので、おそらくこの町並みも大切に保存されていくのでしょう。将来こういっ た町並みが保存されていることは、素晴らしい価値あるものとしてさらに評価 されるに違いありません。 今まで様々な事例でもご紹介してきたように、元々あった資源をうまく活用 したまちおこしで成功しているケースは多くあります。これらの成功要因を考 えると、元々あったものゆえローコストでまちおこしにつなげることができて いたり、地域性とも一致しているため他との相乗効果が得やすかった、といっ た分析になるでしょう。しかしもっと重要なことは、元々あった資源を活用し た場合、将来的にその価値はさらに高まる可能性が高い、ということです。時 間とともに劣化したり陳腐化したりせず、むしろ価値が高まる、これこそが本 物のまちおこしと言えます。 昔からそこにあり、いつも見慣れていると、その価値がわからなくなりがち です。これは歴史的資産に限らず、地域の文化や自然環境でも同様です。そし てその価値に気づかないまま壊してしまうのかも知れません。これを防ぐには、 外部の客観的な声に耳を傾けることと、常に五十年後、百年後の将来を考える 姿勢が大切なのではないでしょうか。 (望月 義尚)
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