第017号 まちおこしと看板

 いままで綾町や黒川温泉の事例でも紹介してきましたが、景観や環境を保全
し、美しいまちなみを守ることはまちおこしの重要な視点です。一方で、観光
によるまちおこしを目指すなら、訪れた観光客の利便性をはかる誘導サインや
観光消費を促進する商業の発達が大切です。しかしながら観光振興に熱心であ
ればなおのこと、サインや看板が乱立することとなり、まちの景観が損なわれ
ていくおそれがあります。
 この矛盾するふたつの問題をコントロールしながら上手にまちおこしを進め
るために、日本各地で景観条例等が定められていますが、その中でも抜群にう
まくやっていると思えるのが栃木県の那須地域です。
 那須を訪れた人ならすぐに気が付くと思いますが、サインや看板がすべて茶
色と白で描かれており、自然の景観にとけ込ませる工夫が講じられています。
驚くのはその徹底ぶりで、大手チェーンのレストランやコンビニエンスストア
の看板までもが茶色と白で統一されています。
 普段からよく目にする看板の色合いがシックな感じの茶と白になるだけで、
緑豊かな景観の中に落ち着いた色が溶け込み、美観が保たれると同時に新鮮さ
が生まれ、見る人を唸らせます。
(望月 義尚)

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