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熊本県南小国町という所をご存知でしょうか。「黒川温泉」と言った方がわ かるかもしれません。ここは年間100万人以上が訪れている、全国にその名 を知られた一大温泉観光地です。 先日、黒川温泉郷の観光旅館組合理事である松崎郁洋氏を弊社主催の講演会 にお招きし、直接お話をうかがって、黒川温泉郷の成功の秘訣は、大きくは2 つあると感じました。今週はそのうちの1つをご紹介します。 全国から温泉ファンが訪れる黒川温泉ですが、特に露天風呂の素晴らしさは 傑出したものがあります。しかしもともとは露天風呂のある旅館は一軒のみで した。近年、「そちらの旅館に露天風呂はありますか?」という旅館組合への 問い合わせが増えた事をきっかけに、次々と温泉郷の旅館が露天風呂を持つよ うになりました。ただここまでは全国どこでもある話です。黒川温泉の旅館組 合の人たちは、どうすれば他と違う温泉、たくさんのお客様に喜んでいただけ る温泉にできるかを考え、一つの結論に至りました。それは、「この露天風呂 にやってくる人たちは、非日常的な空間、都会の忙しさから解放される空間を 求めてやってきている。ならば田舎のよさ、山の中にある黒川温泉郷のよさを 前面に出し、心の底からホッとできるような露天風呂をつくろうじゃないか。」 というものでした。そして出来上がった露天風呂は、手作りを基本とし、森の 中に自然とお湯が湧き出したような自然と一体感を感じさせる素晴らしいもの になったのです。 何故黒川温泉郷がここまでになったかについて、松崎氏は「たまたま自然に 恵まれていたからではないでしょうか。」とおっしゃっていました。しかし他 の温泉街が、温泉と直接関係のないお店や装飾で華やいだイメージを作り出し ているのと異なり、黒川温泉郷は自然を活かし、もともとそこにあった風景に とけこんだ温泉郷つくりに取り組みました。そのことが、人々に愛され、全国 からお客様がやってくる温泉郷になった秘訣ではないかと思うのです。私も黒 川温泉郷の話を知り是非行きたくなりました。 (小林 祐司)
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