第006号 明るく前向きな人たち

 高知県安芸郡馬路村というところをご存知でしょうか。ここは人口わずか
1300人程度で村の面積の97%が山。その山の4分の3が国有林で、今な
お、かつての農村の典型的な姿を残しています。
 もともと馬路村では柚子を特産品にしようと生産が行われていましたが、村
の高齢化が進むにつれて手入れが行き届かなくなり、加工品に売上向上の活路
を見出す事になりました。その過程で、農協で働いていた東谷望史(とうたに 
もちふみ)氏という方が、なんとか村の柚子加工品を世に知られる商品にしよ
うと全国の催事に出かけ、ありとあらゆる苦労をくぐり抜けてとうとう一大ヒッ
ト商品(柚子と蜂蜜だけを使用した無添加ジュース)を創り上げました。当初
1億円に満たなかった年間売上は、今では他の柚子ヒット商品を合わせて
22億円を上回るようになり、全国25万人の顧客を持つまでに知られるよう
になったのです。
 東谷氏がその無添加ジュースの開発に試行錯誤する時、明確に貫いた強い信
念が「この商品が世にウケないはずはない、いつか必ずヒットする!」でした。
そしてどんなに苦しいときも明るく楽しく、そして前向きに頑張り続けたのです。
 今年3月の終わりごろに馬路村を訪ねました。柚子のことで話しかけると誰
もが明るく、誇らしげに語ってくれました。私は「あぁ、こういう人々だから、
かつての苦しい時期を前向きに、頑張り続ける事ができたのだろうな。」と思っ
てしまいました。
 よく偉大な事を成し遂げた人々の伝記を読むと感じますが、そういった人は
必ず強い信念を持つとともに前向きで明るく、そのひとを取り巻く周囲もまた
明るい人々ということが一つあるようです。苦しいときこそ前向きに…、など
は当たり前に言われる割に自分を振り返るとなかなか簡単にはできていないこ
とに気づきますが、馬路村を考えたときに成功の要因として大きく貢献してい
るのは間違いなさそうです。
 私も見習ってもっと明るく前向きを心がけようと思う今日この頃です。
(小林 祐司)

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