第202号 横並びからの脱却

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        今週のコンテンツ
■ 今週のまちおこし─『 横並びからの脱却 』
■ 地域再生行脚100 -No.52-
          ~みなべ町(うめ・備長炭)~
      
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 ■ 横並びからの脱却
 日本といえば火山列島。火山と言えば温泉。そう、日
本は温泉大国。全国津々浦々のいたるところに温泉があ
る。温泉は観光資源、経済資源だけに当然、まちおこし
支援と温泉支援の仕事は表裏一体みたいなもの。時々、
まちおこしなのか温泉支援なのかよくわからなくなるこ
とがあります。今回もそんな温泉を通じたまちおこし業
務での一幕。
「隣のまちは、露天風呂を大きくしたから、うちも!」、
「●×町では岩盤浴がすごい流行っているらしい!やは
り岩盤浴を入れたほうがいい!」 
まちの温泉施設をリニューアルしようという話が持ち上
がり、今の施設を一体どのように変えるのか、という議
論になりました。しかし、こういったご意見は参考には
なるものの、自店をどうリニューアルするかについて、
大きな意味を持ちません。では一体何を根拠にリニュー
アルの内容を決めたらよいか。
考え方は、以下の通りです。
●差別化(当然!)
●強ければ包み込み ⇒ 他店より財力や収容力が大き
 ければ、競合と比べて全てで上回るものにする
●弱ければ一点突破 ⇒ 身の丈にあった部分要素で競
 合と差別化(普通は一点突破からはじめて、体力がつ
 いたところで全面展開、つまり包み込みをする)
こう考えると「隣町がつくったからうちも・・・」とい
う、横並び的な意見は論点がズレてることがわかります。
 まちおこしに成功してメジャーになった多くは、最初
は「力相応の差別化」という小規模なまちおこしから始
まっています。隣町の規模に合わせる、同じ内容のもの
を用意する、といった形では、最初の1年はうまくいっ
ても、その後だいたい失敗します。温泉は特にそうです。
 基本的に地域のまちおこしは、一点のみ差別化をする
「一点突破」からが9割。
1.『まずは敵を知る。』
2.『真似しない。』
3.『力相応の差別化から始まる』
という考え方が必ず必要になります。
 現在、ご支援しているところは町長を始めこの考え方
をご理解いただき、今年中にユニークな温泉リニューア
ルが実現しそうです。どうか皆さんも「横並び」という
発想にとらわれることなく、上手にまちの差別化を進め
てほしいと思います。(小林 祐司)
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○執筆者紹介 小林 祐司(こばやし ゆうじ)
 船井総研入社以来、地域活性化、社会貢献をキーワー
ドに業務活動を行う。自治体、民間企業を問わずにコン
サルティングを続け、寝る間も惜しんで全国を奔走して
いる。「農」を通したまちおこしの研究も進めている。
★北海道で運転中に吹雪で目の前が全く見えなくなりま
 した。隣りの地元の方が一言「ここで車を停めてしま
 うと、確実にオカマを掘られますよ」。そのまま視界
 ゼロの中を走行しました・・・。北海道の冬のすさま
 じさを、肌で感じた体験でした。(> <)  ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇ ■ 地域再生行脚100 -No.52-           ~みなべ町(うめ・備長炭)~  ◇ぶれないイイきるトップについていく   (うめ編)  ◇補助金ではない、自助サポートが大切だ   (備長炭編) こんにちは。古川です。この度は日本一の梅産地&備 長炭の起源地「和歌山県みなべ町」に行って参りまし た。本メルマガの読者でいらっしゃる役場職員のかた からのご依頼でございまして、この機会、この出会い に感謝申し上げます。ありがとうございます。 さて、みなべ町では、2月11日は梅の日で、このあ たりに梅の花が満開になるそうですが、残念ながら、 今年は非常に寒い冬であるからかまだ開花しておりま せんでした。月末が見ごろでしょう。たくさんの梅林、 本物備長炭の焼き釜を見て紀州の歴史と風土に触れて きました。 和歌山県みなべ町。平成16年10月、旧南部川村+ 南部町の合併で「みなべ町」となりました。南高梅と 備長炭で有名な地域で、役場には、税務課、福祉課、 水道課と並んで「うめ課」があるほどです。うめでの 地域づくりでは大いなる雇用創出と意識上の統一感が あります。梅御殿といわれるほど、梅で稼いだ農家の ご立派な日本家屋が随所に見られますし、観光名所と しても梅干館という生産工程が見られるお土産館もあ り、観光大型バス3台がちょうど停まっておりました。 ■ぶれないでイイきるトップについていく さて合併においてオドロキだったのが、普通は村町の 合併であれば、文化的にも町側に吸収されるのが多い のですが、この地域はまったく反対だということです。 それは、南部町がとなりの田辺市に合併するのか、現 況のままでいるのか、南部川村と合併するのか右往左 往していたのに対し、南部川村は合併前から、森と海 とのつながりを考え、梅や備長炭(ウバメガシの森) を押し出した村づくりをしていたことから、筋もぶれ ずに田辺町との合併を決められたそうです。その地域 を生かすのも「梅しかない」という言い切りが文化的 な強さとして今後も継承されていくこととなるのでし ょう。 新首長選挙に関しても、旧町の出身から一般的には「 町長」が出てくるが、結局「梅!」という一本でぶれ ていなかったので旧村村長が町長であるにいたってい ます。やはりぶれないトップにはついていくのでしょ う。ご案内してくださった役場職員のかたもこの町の そのリーダー「山田五良(ごろう)町長」を敬愛され ておりました。また地域一番のうめの営業マンでもあ り続けているそうです。そのマインドはどの職員にも 浸透している。これは、何課に属していようと、うめ の生産現場から加工現場で基本的な知識を習得させる という新人研修システムがあるからかもしれません。 あの課はあの課、この課はこの課というような縦割り 行政というのが多いなかで、産品統一による横のつな がりの一体感もまた、この町役場の特徴でもありまし ょう。 さて、みなべ川森林組合の参事松本様に出会いました。 お忙しい中御時間を頂き、本場備長炭の歴史と想いと 現状をお教えいただきました。森林組合の中では日本 で異端的でありますが、ウバメガシというかつてから 自生していた樹を備長炭にすることによって、杉檜の 拡大造成林の時期にその時流に乗らずに生き残ってい たそうで、独自性があるのです。 その備長炭を世に広めている森林組合の松本さんはこ うおっしゃいました。組合がIターン者にしていること は3つあるとおっしゃっていまして、その考え方に私 はいたく納得と感銘すらしました。それは、自助促進 のサポートをすることであり、補助をしないという姿 勢です。 ■補助金じゃない■    備長炭生産者になりたいIターン者へ  ①師匠を紹介する ②空家を探してあげる ③備長炭を買ってあげる    (売り先への努力は我々がする) というこの3つであるといっています。和歌山県の緑 の雇用もいいのですが、やはり補助金便りになる現状 は否めません。森林組合が本当に、林業家にずっと働 いていいただける仕組みが作れるのかが重要であるの ですと力強くおっしゃっていました。利益的な持続性 の大切さです。 ゆえにそういった関係性があるゆえか、多くのIターン の方(10名)が備長炭でIターンをしていて「いい町に もっとしようよ」と言ってくださるそうですし、また それゆえに「え!?うちはそんないい町だったんかな ぁ」と逆に思い、いい関係性が地域の中で生まれてい るそうです。ベテラン生産者にも匹敵するくらいの勢 いで、美しき魂のこもった備長炭が生産されていると のことです。 やはり「みなべブランド」は品質であるという松本さ ん。その力を持続させていかないと、飽きれられてし まうともいいます。団結していくことによってできて くるし、利益を出し続けるからできること。当然、伝 承していきたいと切に願っている。そんな、松本さん は終止こういっていた。 「おかねじゃなくてもイイっていってきてくれるんで す。本当に嬉しいです。この海と森のつながり、持続 可能。今で言うロハス。利益よりも大切なものをもっ と伝えて生きたい」っと。 持続可能性、山と海が繋がる運動、植林事業、教育、 Iターン支援どれもこれも筋が通っています。ロハス的 にも注目されている備長炭の原産地、みなべ町。偶然 にももえ系キャラクター「びんちょうたん」とのコラ ボレーションでテレビ放映もあるそうです。天から降 ってきたこのキャラクターにも託し、独自の町づくり を行っています。 きちんと情報を発信していれば、都市部からのご援助 もやってくる。閉じていないで発信する。偶然から必 要必然へ。それも松本さんの情熱、自発的援助と引っ 張る人の情熱と行動、そして、その情報発信力。その 土台を強いてこそ、魅力的な地域であるのでしょう。 http://www.tbs.co.jp/bincho/
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○執筆者紹介 古川 大輔(ふるかわ だいすけ)
経歴は農学部卒、同大学院卒で船井総研入社。今年度か
ら大学院時代の専門を活かしながら、地域創造・活性化
チームを創設。
現在「名もなき市町村のブランド化戦略」に挑戦してお
り、常に「持続可能」と「利潤追求」の2つのテーマを
追求している。特に、林業・山村の活性化と、国内の材
木需要の掘り起こしに全国を奔走している。
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